ご挨拶
神道史学会は戦後の日本の歴史・伝統を対象とする学問分野への軽蔑・中傷の風が汎濫するなか、昭和27年4月に主権を回復したその年の10月、山田孝雄氏、河野省三氏、武田祐吉氏、折口信夫氏、安藤正次氏、澤瀉久孝氏、平泉澄氏らの当時の錚錚たる研究者が世話人となり、
神道・神道史並びに関連する人文科学の研究を行うことを目的として発足した学会です。
爾来、70年に垂んとする歴史のなかで、多くの神道研究者がこの学会を足場に研究活動を展開し、研究者としての地位を確固たるものとしてきました。
神道史学会という名称に明らかなように、本学会は神道の歴史を闡明することが大きな目的でありますが、祭祀学や神道古典、神道思想、さらには宗教学や日本文化研究などの隣接領域からする多方面からの取組みも包摂するものです。
神道の祭祀や儀礼、またそれを書き残す文献には成立・伝承の経緯、神道への熱い思いや信仰心などの特殊な背景を抜きにしては正しい理解に到達できないものもあります。
先哲の累積しきたった深甚なる研究を学び、その学を継承し、次世代に伝承することも本学会の大きな役割と考えます。
また、神道をめぐる学問研究の成果を神道や日本文化に興味を持つ国民に頒っていただくことも研究者としての大きな務めです。
研究者の方々には地道な研究の成果を神道史学会大会や『神道史研究』紙上で披歴していただき、神道とそれをとりまく日本文化研究の活性化の一翼を担っていただきたい。
神道史学会の諸活動を通じて、かけがえのない日本の大切さが再認識され、ひいてはそれが国民の精神生活を豊かにするものとなれば幸いです。
代表 河 野 訓
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